Antique Watch and Clock Restoration

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コラム(NO19)

腕時計の電池交換

腕時計の「電池交換」だけが 「時計修理」 と切り離して扱われる風潮があります。

確かに使用前のきれいな時計なら裏蓋を開ける時のホコリ混入もあまり心配しないで済みますし、

特別な工具など一切使わず簡単に電池を外し、また簡単に新しい電池が入れられる機種もあります。

別に時計修理の専門技術者でなくても難なく電池を取り替えることが出来ます。時計は動き始めるで

しょう。しかし腕時計は汗やホコリにまみれ、水や海水がかかる環境で使われるものです。重要なのは

タイトルの「電池交換」作業よりその前の「蓋を開け」、その後の「裏蓋を閉める」作業なのです。これは

修理内容のフルコースである「時計のオーバーホール」(分解掃除完全修理)の際の最大の修理項目と

全く同じ作業です。それどころか「完全なオーバーホール」の時より「電池交換」だけのコースの時の方が

もっと難しいと言って良いのです。なぜなら「分解掃除完全修理」の時と違い、「電池交換」だけのコース

では蓋を開ける時のホコリやサビの混入が絶対に許されないからです。電池を交換した後は蓋を閉める

工程が残されているだけ、もし不具合が生じたら終わりです。つまり行う方(時計屋)は地獄、お客様は

極楽。そんな内容になっているのが「腕時計の電池交換」なのです。そして、作業者が「地獄」を避けた

時に何が起こるかを思い浮かべて頂きたいのです。無造作に時計の裏蓋を開け、そのまま閉められる。

例え時計は動き出したとしても、それは直ったのではなく、逆に「壊された」の終末への出発点なのです。

 

コラム(NO18)

時計修理と修理設備

時計は微細なホコリ一つで動かなくなります。修理には1ミリを何十回も切り分けるような作業が求められます。当然、特殊な設備や工具は欠かせません。

ところが、腕時計でもクロックでも、使われた後の状態は汗やホコリで埋まり、錆びまみれの無残な姿です。作業内容は医療現場の手術室に土木現場の

重機作業を持ち込むようなことになります。想像出来るでしょうか。ですから、「時計用空気清浄器完備」と胸を張ったところで間に合わない事はお分かりに

なるでしょう。また、専用の特殊工具や測定器それ自体が時計を直す訳ではありませんし、重要な行程を担ってはくれるものの修理成果を決めるのは別の

要素です。いくら並べても解決に結びつきません。もちろん、必要な時計用器材、測定器が揃っていなければならない事は言うまでもありませんが。さて、本

当の意味で備えるべき設備(工具)を申し上げましょう。その一つに「機械台」があります。「ムーブメントホルダー」は、本来、メーカーが時計を組み立てる時

に使うもので、「専用ベッド」です。万能機械台と違い、すっぽり”面”で支える為、安定した状態で修理作業が行えるのです。ところが、機種毎に無数の時

計仕様があります。更に現在、一部を除き一般には供給されませんので(かつての日本の時計メーカーは全機種をそろえ供給しましたが)実質的には入手

出来ません。だからいかにして専用の時計機械台を用意するか、また使いこなすかが、複雑時計や、特殊時計を直す条件といっても過言ではありません。

腕時計修理の落とし穴として「専用機械台を使わない時計修理」があり。多くの、かけがえの無い貴重な時計達が「危ない分解」、「恐ろしい組立て」に

さらされてきた。この事は文字盤側にまで無残な傷を付けられた生き残りの時計が証人です。同様に最も大切な設備として揃えていなければならないのに

用意されていない、また用意することの難しい工具や設備がまだまだあるのです。しかしこのような詳細について、修理を依頼する側が吟味する事は出来

ませんしまた逆にずらりと機械台を並べて自慢されても困惑するばかりでしょう。結局のところ、人間を確かめることしか修理内容を見極める手立ては無い

のかもしれません。何の世界においても達人ほど無口なものです。道具だけををひけらかすようでは困りますし。どんな修理をするか「目」を見て判断しなけ

ればならないというのも「切ない」というか「情けない」と言う他ありません。

 

コラム(NO17)406

皮バンド

時計のバンドはある意味時計以上の役割を果たす事があります。自動車のタイヤを思い浮かべて下さい。新車ならば自由に選べるタイヤですが

クラシックな車に付けるタイヤは慎重に合わせていかなければならないことでしょう。時計もアンティークになるほどその皮バンド選びが難しくなります。

ただクラシックカーの条件はどんなに古くてもレストアされてピカピカなことですがアンティーク時計では事情が違います。下手なケース仕上げ文字盤

の書き換えはオリジナルの魅力を台無しにするだけです。時計にとっては、ある程度の傷や変色が欠点ではなく味わいになります。車では考えられ

ない(単なるポンコツになってしまう)この点が車のタイヤ選びよりもっと奥深い世界を、皮バンドに与えているのです。擬人的に表現すると革バンド

がうまく合った時あなたの腕時計は 「にっこり」 と微笑んでくれますよ。何しろ時計とご主人、双方の性格を思い浮かべてのコーディネイトです。

 

コラム(NO16)404

時計修理と修理料金

時計の修理に限った事ではありませんが、物を買う時の「値段」と,、
形の無い”仕事”つまり修理料金では、大きな違いがあります。

品物を購入する時は、値段は安いほどいいに決まっています。
売る側の利益が少なくなるだけで、買う側に不利益はありません。

しかし仕事は、人間の行為そのものです。簡単ではないのです。
時計を直す場合はこうです。止まっていた時計が動くようになっ
たら
それで良いのでしょうか。これを変な質問だと思われますか?

末永く使い続けなくていい時計には、このような問いは生まれませんが

今調子良く動いている時計でも、長く使い続けられるコンディションなのかどうかはまた別です。

どのような修理だったかの結末は、何年も先の、
また時計が動かなくなる時まで分かりませんしかし、
その時ではもう、取りかえしのつかない場合があることを
どうか忘れないで下さい。


 

コラム(15)0331

時計のガラス

現在、腕時計用のガラスはほとんどが「サファイヤ」になりました。特に断らなくても最高のガラスが付いているということになります。

厚さもクリスタルガラスの半分程度にして使えるので薄く、軽く、傷つき難い。そして「サファイヤ」の響きも良い。正に究極の時計用

ガラスなのです。さて、このサファイヤのガラスが時計に使われ始めたのは30年以上も前ですが、別格扱いで20万円前後の超

高級時計だけに付けられました。価格は一枚が数万円ですからトラブルを招かぬよう神経を使いました。時計メーカーからガラス

交換の依頼があった時どうするか厳重通達がありました。ガラスがサファイヤである事情を詳しく説明する。さらに必ず見積を取り

修理すること。さもないと「ガラス一枚に4万円請求された」と大騒ぎになるばかりかメーカーが修理代金を払ってもらえない事に。

おそらく多発した後の通達だったのでしょうが、「そんな物を(高すぎる)商品にした」と思われるのも困るし、さりとて値段をはっきり

表示しないわけにもいかないし。そんな時代があったのです。それが10年前頃から急に安くなり、2万円以下の時計に使われる

ようになりましたが。人間は難しい生き物です。サファイヤガラスが当たり前になると、そうでない物が急に恋しくなるから不思議。

例えばロレックス。数十年間も変えずに「プラスチックの風防」だったガラスをサファイヤにしたのは10年ほど前です。確かに「高級」

の実感を一段と強くし実用的にも格段の進歩です。「不滅の輝き」とでも言えばよろしいのでしょうか人々を魅了して止みません。

しかしそれでは新しいピカピカのロレックスを買った後長く使い続けた以前のロレックスは見向きもされなくなるのでしょうか。もちろん

ガラスもケースも傷だらけ。時計の調子も悪くなっていたかもしれません。しばらくは新しいロレックスが腕に輝いているでしょう。見る

度に「高級」「超一流」「永久」の印象を新たにしますから。ところがです、やがてある事に気づきます。18金のベゼルやケースに傷

が付き、見る度に必ず増るのに対し、ガラスはそのままでぴかぴか、角も買った時と同じ、完璧に鋭利なままです。「それでいい」

訳なのですが、思い出したように取り出した古いロレックスを見て感じることは、その完璧なサファイヤガラス故の冷徹さなのです。

そして対局の素材「プラスチック」が持っている何と言ったらいいか言葉に表わしがたい不思議な優しさをここで知る事になります。

プラスチックの風防(ガラス)は傷が付き易く日本の時計では30年以上前から努めて強化クリスタルガラスやサファイヤガラスに置

き換えられてきました。実用品としての時計では「傷が付き易い」は欠点以外の何者でもありません。当然の結果だったわけです。

それが今、思いもよらない事になっています。いにしえの遺産と化すはずだった手巻自動巻の機械式時計が、特別な位置づけの

時計ではなく最先端の電波時計と同格かむしろそれ以上の存在として復活しているのです。そしてその魅力は本来の時計機能

ではありません。腕時間が時を計る道具から手にしているだけでも心が癒される「物」に、役割を変えました。すると事情は一変。

高性能高品質が必ずしも良い結果を生むとは限らなくなります。そしてその一つが何とプラスチック製の「ガラス」なのです。プラスチ

ックのガラスは強度上柔らかな曲面が必要です。またそれを押さえてなるべく平らに形作ろうとする場合は縁が立ち上がった台形

のガラスになります。いずれにしろ使うにつれ、またガラスの傷を研磨して取り除く過程で角が取れ丸みを持ったやさしい姿に変わっ

て行くのです。さてあの傷だらけのロレックスはどうねっているでしょう。優しい時計屋に委ねられた20年前のロレックスは機械を

オーバーホールされた後丁寧に丁寧に磨かれます。ガラスの傷は全て無くなりピカピカです。ロレックスは生まれかわります。

前より少し優しい顔になって。

 

コラム(NO14)0318

時計の魅力

最近「アンティーク」が注目の的です。古いものが見直され本当の良さを楽しむ時代になりました。意外な物では古いパソコンがあります。

機能を考えれば処理能力が劣るいにしえの電子機器が登場出来る場などありません。パソコンだけは絶対に新しい方がいいと思ってい

ましたが受け止め方によって実に魅力的な活路を開く「パソコン」があったのです。その一つは最初期のマッキントッシュです。最大の魅力は

そのデザイン。優美な姿は当時の価格(数十〜100万円台)を聞いて十分納得できる申し分の無い世界です。そばに置くだけも気持ち

いい存在ですが工夫を凝らし何とか現在に通用出来る性能を与える事も不可能ではありません。そうなると仕事の最先端には向けられ

なくとも鑑賞用ではないパソコンとして生かす事が出来るのです。しかも一番のお気に入りとして。さて時計はどうでしょうか。時計の場合も

今日のは、かつてのそれとは比較にならないほど高機能で高精度です。しかし面白いではありませんか、パソコンとは違いそのままがいい

のです。時計の命であるはずの「精度」を考えれば古い気に入ったデザインの時計に新しい電子時計を入れ替えて使えば良さそうですが

それはしないのです。もちろん正確に動いてくれたらとってもうれしいのは言うまでもありませんが精度が悪いからと言ってオリジナルでないメカ

に変えないのが「アンティークの心」。つまり時計が作られた時、その時計が生まれるに至った時代背景までをも愛するからです。見えない

所で防水性耐久性を改善する程度は問題ありませんが、それ以上の強化は「魅力」を失う結果になります。アンティーク時計が持つ

本当の魅力は

持てる力を出し尽くし、精一杯動き続ける「けなげな姿」にこそあるからです。

 

コラム(NO13)0312

ルビー

最近の時計には石(ルビーで出来た時計歯車の軸受け部分など)が何石(○○JEWELSと表記)なんてどこにも出ていません。しかし以前は

文字盤中央でその数を競ったものです。一般的に手巻時計は17石、自動巻きは21石以上使われます。ところが中にはルビーを39個、更に

100個使った腕時計まで作られました。「なぜルビーが入ってるんですか?」。ルビー(ダイヤモンドの次に硬い物質。色の赤いものをルビー

それ以外の青や透明はサファイアと呼びます)は一般的な金属に比べて圧倒的に硬いので、摩耗しない素材と言って良いでしょう。また同時

にそれは摩擦抵抗の極めて少ない素材でもあるわけです。直径1ミリに満たない歯車、髪の毛より細い回転軸にあって、しかも無限と言って

良い長い長い期間働き続ける時計の部品がいつまでもその精度を保つことが出来るのは、他ならぬルビーあってのことです。”命を支える石”

そしてそれはもう一つ大切な役目を担っています。それは「美」です。持ち主が一生見ることの出来ない機械内にスイスの時計職人は心血

を注ぎます。時計機能の最高を追い求めた結果のルビーは「時を刻むロマン」を演出する「宝石」でもあるのです。輝くルビーをちりばめた時計

でもそれは金や銀のケースの中にあって普段見る事は出来ません。なぜなら「時」を目で見る事は出来ないから、時を刻む時計の美しさは時

計を作ったスイス人だけの秘密なのです。見せたくないほど「美しい」からなんて説明したらぶっ飛ばされてしまいそうですけど・・・・・・・・・・。

 

コラム(NO12)0308

宇宙って、何。

どこまで続いているのか、果てはどうなっているのか、宇宙の誕生ってどんなだった・・・・なぜ星は光るんですか?そして、光らない星って・・・。

最近新しい宇宙論が次々に登場しています。それは今までの宇宙観が吹っ飛んでしまいそうな光景ばかり。例えば生まれた星はやがて終

を迎える。しかしその星の残骸は必ず、また新しい星に生まれ変わる。だから「世界は永遠に尽きない」そう信じてきた宇宙なのに終焉が待

っているのだそうです。そこは光る星が全く無い、闇闇闇・・・・・・どこまでも闇。永久に光りを失った空間。そんな世界になってしまうのです。

そしてまだ宇宙の話しは続きます。これより先の世界(新宇宙)は私の理解能力のはるか外にあることですが、まるでスズメバチの巣を重

ねて行くようにくびれた細い宇宙トンネルで別な宇宙とつながっている。今の宇宙の果てでさえまだ見ていないのにです。他の宇宙とあっち

でくっつきこっちでつながっていると説明されたってため息しか出ません。宇宙って、一体何!。考えれば考えるほど分からなくなる。宇宙。

考える。宇宙を考える・・・・・はて、宇宙を考えるとは。「人間が宇宙を科学する」って不思議だと思いませんか。もしかしてこの事の方が

宇宙よりもっと神秘的な出来事ではありませんか。宇宙を思い浮かべる人の心。それは宇宙そのものにも負けない不思議世界です。

 

コラム(NO11)0207

はと時計

鳩が出て時を告げます。重りは松ぼっくり、振り子は木の葉、三角屋根の山荘そのままを時計本体に。

何もかも合理化され、味気無い世の中にあって鳩時計は、時計版の生きた化石と言って良いでしょう。

日本では残念ながら「時計」の信頼性を最優先にしたため、完全な機械仕掛けは止めてしまいました。

今の時計はクォーツ、振り子は電磁石、モーターが鳩を出しスピーカーが鳴く。そんな感じでしょうか。

もちろん電池式ですから一年間正確に動きます。それに比べ機械式の鳩時計は重りだけが頼りです。

複雑にリンクした歯車やカム、そしてカラクリの仕掛け全てが一つの「ムーブメント」に集約されています。

そして鳩を出すのも時報やオルゴールを奏でるのも、その全てが振り分けられた重りの力で動くのです。

それはどこか一箇所狂っただけでも時計全体に影響して、時計が動かくなってしまうことさえあります。

また重りは一日分(8日巻きはありますが)、毎日巻き上げなければなりません。手間がかかります。

その他欠点はまだまだ沢山あって申し訳無いくらいなのですが・・・

この全ての欠点がある瞬間から「魅力」に変わってしまうことがあります。

その瞬間、それはあなたが本物の鳩時計を見た時、出会った時です。

コラム(NO10)0104

鳴らない時計

昔、時計は掛け時計も置時計も「ボーン、ボーン」とか「チン、チン」とか時を告げたものです。時報の無い時計は何故か少なかったように思います。

ところが近年は、全くその逆に時報の付いた時計が例外的存在です。またその時報も、部屋の明りを消すと自動的に鳴らなくなるといった、肩身

の狭いお役目なってしまったのです。時代とともに変わって来た事はたくさんありますが、時計の「音」もその一つです。失われた音なんて書くと大げさ

ですが、古い時計の音には言葉で説明できない不思議な魅力がありました。真夜中に鳴っても夢の中に溶けて消えてしまう、そんな優しさを持った

音だったのです。そしていつしか消えてしまった時計の音、それはたぶんそうでない音だったのではないでしょうか。他の多くのことと同様に、時計もまた

劇的に変化して来ましたが、進化して小型軽量化すればするほど生々しい心暖かい音は出なくなってしまうように思います。大きく、重い、ゼンマイ

仕掛けの時計は、その全てを精一杯働かせて音を出します。リニアモーターカーと「蒸気機関車」を比べるようなものでしょうか。蒸気機関車は音が

命。方や「リニアモーターカー」は、「静かさ」が命。さしずめ、現代の時計は「リニアモーターカー」の例え、音を出さないが肝要と言うところでしょうか。

 

コラム(NO9)1228

時計の本

書店にも、またコンビニエンスストアの店頭にも、時計だけを扱った雑誌が何冊も並んでいます。一昔前には想像も出来なかった事ですが、

毎日時計修理に関っている者でも目を輝かせるその内容には、さらに驚かされます。全てが合理化されて行く昨今、「過去のもの」になる

はずだった手巻や自動巻の機械式時計が、主役として本を飾る。かたや電波時計と称して、絶対的な精度を誇る時計があるのにもかか

わらず。これは一体どうゆうことなのでしょう。もしかしたら、人々の関心がこれまでとは違って来たのかもしれません。時計の本に出てくる

のは、ピカピカの新製品よりも使い込まれて傷だらけになった古い時計です。そして、精度が高いとか、防水であるとか、耐久性に優れて

いるかについては、あまり話題になりません。代って注目されるのは、その時計そのものだけでなく、経歴や話題性です。時計内部の写真

がお決まりのように並ぶのも今まで全く無かった事ですが、スイス時計職人の世界(普段は見る事が出来ない内部のメカニズムを、美

の心でデザインせずにはいられない)を、日本人の心がようやく受け入れ始めたと言う事でしょうか。時を刻まない本の中の腕時計たちが、

消えてしまった「街の時計屋」に代って、帰り道のウインドショッピングを楽しませてくれる。だから「時計の本」が、今は「時計屋」なのかな。

 

コラム(NO8)

アンティーク時計の重さ

最近の時計は驚くほど軽い。黄金に飾られた高そうな置時計。しかし、「ずっしり重い」事はまず無い。ほとんどプラスチックで

出来ている為だ。本体はもちろん、時計機能に関る歯車や軸受けなど、精度を左右する部分に至るまでほとんどプラスチック。

意外な所では、手作りの木彫に見えるハト時計が、「発砲加工」されたプラスチック製だったりするから油断出来ない。さて

時計がプラスチックで出来ていたらそれがどうしたという事になる。プラスチック製は良くないのか。残念ながら、最近の「きれい

な」時計たちについては、存在感に欠けると言わざるを得ない。豪華でも、人形が出てくるカラクリがあっても、何かが足りない。

逆に、傷だらけの色もくすんだ古い時計には、どこか魅力を感じるから不思議だ。そして、手に取ると小さくても重いのだ。

なぜこんな事になるのだろう。もちろん、重さの違いからではない事は言うまでもないが。アンティーク時計の魅力とは何なのか。

答えは、・・・

 

コラム(NO7)1120

望遠鏡の時計

夜空にきらめく星を眺めている時不思議な安心感を持つ。はるか遠くにあって絶対に落ちてこないと信じているし、1000年

単位でも光っている星の位置が変わらない事を知っているからだろう。「不変」の象徴みたいな存在だから。ところが望遠鏡で

星を見ると少しずつ動いている事が分かります。地球が回っている為なのですが、倍率が高いとすぐに視野の外に移動して

見えなくなってしまいます。だから望遠鏡は少しづつ自らを動かして星を追尾するのです。そして、この装置を「時計」と呼ぶ

習慣があるらしいのです。我々が思い浮かべる時計と言うものは歯車などの機械部分より文字盤の数字や時分を表わす

針に代表されるイメージでしょう。だから望遠鏡の自動追尾装置を「時計」と聞いた時に違和感を感じないのは専門家だけ

なのかもしれませんが考えてみると星の動き(地球の動き)こそが「時」の基準だったのではありませんか。古代からつい最近

まで空(星空)こそが時計もちろん文字盤も針も星だったのです。さあ、現代生活での星は、日常生活以外のロマンチック

な場面にだけ生きています。もしかしたら”時感”を忘れたい、そんな時間の為に星ぼしはきらめいているのかもしれません。

 

コラム(NO6)1017

第四の針

時計と言えばまず浮かぶのは秒針だろう。コチコチコチ・・・、動いているから。でもこの針が担うのは一分だ。たった60秒の世界。

時は限りなく続いていくのに一分でまた戻ってくる。「ありがとう秒針くん」そんな感じだからなのだろうか。他の針が無口なのに対し

「また来るね」って話し掛けられているような気もするし、金属なのに温かい時計の針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・秒針

長針、短針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゆっくり、目に見えない速さだからゆっくり時を刻んでいるように思える。しかしそれは間違っていたと気づくことになる。「第四の針」

24時間で一回りする時計の針がある。朝、初めて見る時計の針が示しているのは、もう一日の1/3が終わっていることである。

 

コラム(NO5)904

クォーツ時計の精度

約30年前、水晶発振式腕時計(クォーツ時計)は発明品として登場しました。一日の遅れ進み(日差)がそれまでの何十分の一

多くても一秒以下という、腕時計としては「奇跡の性能」だったからです。価格も約50万円。よだれは出ても手が出ませんでした。

やがて日本では、作られる時計の全てがこのクォーツ時計になり精度を競うことになるのですが、月差、20秒、10秒、5秒、そして、

次のステージでは月差から一年に何秒狂うか(年差)を競うようになり、年差が15秒、10秒、5秒、ついには年差3秒以内を誇る

までに至ります(シチズン・クリストロンメガ)。一年に3秒狂ってはいけないのですから一日当たりの誤差は・・・・・・計算できません。

ところがその後の展開は以外でした。更に精度競争が進むと思いきやぱったりと止めてしまいます。それどころか年々簡素化し精度

の微調整装置までも外されてしまいます。もう10年以上前のことですが、メーカーの思惑に反し、人々の精度への関心はほとんど

無くなっていたのです。気がつくとロレックスやオメガスピードマスターのような機械時計が復権し、「精度こそが時計の命」そんな言葉

はどこかに消え去って、代りに本来の時計機能から離れた特徴が新しい価値観として定着します。つまり、正確な時計が当たり

前になると、精度の善し悪しより不正確な部分とでも言いましょうか、「一生懸命動いている姿」であったっり、高級「ブランド」の

イメージがその全てとなってしまいます。ただ最近ですが久々に時計機能の大革命がありました。電波腕時計の普及です。電波

時計は天文台の親時計時刻を表示するので、累積誤差は0です。しかしこれは時計自体の精度が上がったこにはなりません。

むしろこの機能によって、時計本体の精度の問題はさらに影が薄くなってしまうのです。今後は、絶対的な精度を持つ電波時計、

そして精度を離れた存在の機械式時計、この両極化が進み、時計自体がどれだけ正確なのかは忘れられてしまうことでしょう。

でも往年のクォーツ時計が刻む驚異の精度は、測定機との格闘で初めて得られるものです。格別な味わいがあるのですよ

 

コラム(NO4)816

腕時計の鼓動

時計が動いているのか耳に当ててみる。どこかで見た光景だろう。しかし、音を出さずに動き続ける時計があるのです。

ゼンマイを動力に動く時計はいわゆる「コチコチ、音」が出ます。ゼンマイの回転動力を往復振動に換える時の音です。

ところがゼンマイによらない時計は全く違う音になります。たとえば、音叉の振動をそのまま歯車に伝えて時を刻む時計

が現れました。かすかに聞こえる400HZほどの「キーン」です。やがて時計は水晶の高い振動を1秒毎の運針に換えて

刻むようになりますがこの最初の頃だけ1秒毎の運針が耳で聞けたのです。それは、ルビーで作った爪が歯車に当たる

音でした。しかしクォーツ時計が普及すると、このルビーの爪は使われなくなってしまいます。以後しばらくの間は時計の

音が耳には聞こえなくなります。ところがまた時計のが復活します。「カシャ、カシャ」と、にぎやかな音です。今までの時

計の音とは別世界。それは1、000円で買える時計のプラスチック製歯車が回る大合唱音なのですよ。音が出ない

時計は金属製の歯車が究極の精度を与えられていたからこそ出来ました。そして今、使い捨てが前提だから、時計の

プラスチック製歯車寿命が擦り減って行く寿命の「カウントダウン」を、1秒1秒と刻んでいくのです。

 

(NO3) 7 26

本当の時計

時計をとるか、それとも本当の時計をとるか』 時計には二つ顔があります。まずはいわゆるブランド

シチズン、セイコー、オメガ、ロンジン、ロレックス・・・・・・ところがもうひとつ、日本ではあまりなじみの無い

別の顔を持つことがある。日本人の感覚では時計とはすなわち中の機械を作ったメーカーであって他の

顔など思いもよらないだろう。ところがスイスでは違うのです。たくさん時計メーカーがあっても、中身まで

それぞれのオリジナルとは限りません。つまり目に見える時計そして見えないが本当の意味での時計と

二つの顔で出来上がっていることが珍しくないのです。もちろんスイスでも時計のメカニズムこそが時計

の命であると考えて、中の機械はもちろんデザインまで全てを作る工房もあります。しかしそれは僅か

全体から見れば無いに等しいものです。ですからほとんど全部のスイス製腕時計は見える部分だけ、

肝心の時計本体「時計機械」は多かれ少なかれ、どこかに作らせたものと言ってかまわないのです。

つまりほとんどのスイス製時計は日本人の感覚だと「名前だけの存在」ということになってしまいます。

当然、人々の関心はスイス製では無く、すべからく日本製の時計を愛用していることに?????


さて時計の魅力とは、一体何でしょう。正確さでしょうか、耐久性の良さそれとも値段が安いこと?

色々あるはずですが、でもどうやらそうした実用的な理由にはよらないで選ばれる傾向があるのです。

時計を選ぶ理由・・・・・・・・・それは「見た目」。時計の中身よりもデザインの方が重要なのですね。

そして更にもっと決定的な要素がありました。それはもはや完全に時計から離れます。

「ブランド」です。時計が選ばれる最大の理由、魅力は、形の無い「イメージ」なのです

つづく

Machida city tokyo Japan

20150218 ブログ コラム 日記 つぶやき ツイッター